2019年5月26日日曜日

【卓球】中国オープンを皮切りにワールドツアー5大会+T2ダイヤモンドの6連戦が始まる(5/30~7/21)

 今週の木曜日(予選は5/28(火曜))からワールドツアープラチナの中国オープンが始まります。
約2か月ぶりのワールドツアーですが、この中国オープンから約2か月の間にワールドツアー2大会とワールドツアープラチナ3大会がありその締めくくりにT2ダイヤモンド大会が行われます。

5/28-6/2: 中国オープン(ワールドツアープラチナ)
6/4-9: 香港オープン(ワールドツアー)
6/12-16: ジャパンオープン(ワールドツアープラチナ)
7/2-7: 韓国オープン(ワールドツアー)
7/9-14: オーストラリアオープン(ワールドツアープラチナ)
7/18-21: T2ダイヤモンド大会(マレーシア)

これらの大会が終わると、ワールドツアープラチナが年間6大会中4大会、通常のワールドツアーが年間6大会中3大会と年間の半分以上のワールドツアー/プラチナが終わったことになります。そのため、東京オリンピック代表を目指す選手にとってはこの連戦が代表レース前半の山場になります。

また、年間のランキングポイントの積算(「東京オリンピック代表への道」を参照)もこの期間は大きく動いていくと思います。

中国オープンの詳細についてはこちらをご覧ください。
ワールドツアーについての解説はこちらをご覧ください。
T2ダイヤモンド大会についてはこちらをご覧ください。

2019年5月19日日曜日

卓球の黄金世代、みうみまひなの後、第2世代、第3世代・・・

5月18日に終了した2019チャレンジシリーズのクロアチアオープンは、日本の十代の活躍が目立った大会だった。シニアでは格下のチャレンジシリーズとは言え、その活躍は特筆すべきものだった。

男子ダブルスで優勝した高校2年の宇田幸矢と戸上隼輔もそうだが(宇田はU21にも優勝)、今回は13歳の小塩遥菜の快進撃木原美悠の歴代2位の女子シングルス最年少優勝に代表される女子中高生の活躍だろう。

今回、活躍した女子選手の結果をまとめてみると以下のようになる。

選手 生年月日 学年 女子シングルス 女子ダブルス U21
長﨑美柚 2002年6月15日 高校2年 準決勝 優勝
相馬夢乃 2002年8月17日 高校2年 2回戦(R32) 準々決勝 準優勝
出澤杏佳 高校2年 予選敗退 準決勝
木原美悠 2004年8月3日 中学3年 優勝 優勝
大藤沙月 2004年5月16日 中学3年 準決勝 準決勝
小塩遥菜 2005年8月3日 中学2年 準々決勝 準々決勝 1回戦(R32)

(注)長﨑、木原、大藤はU21世界ランキングトップだが今回は出場できなかった。

出澤杏佳以外はシニアでみんなベスト8以上の上位の成績を収めている。
その出澤杏佳はシニアの国際大会は初出場で女子シングルスの本戦には進めなかったが、今年1月の全日本選手権ジュニアの部で長﨑美柚や大藤沙月を破って優勝している。

今回の大会では木原美悠が優勝したが、実際にはお互いに勝ったり負けたりしているので、ここ1年(2018年6月~2019月5月)のお互いの対戦成績を調査してみた。表には国際大会以外に世界選手権1次選考会と今年1月の全日本選手権ジュニアの部の試合が含まれている。

長﨑美柚 相馬夢乃 出澤杏佳 木原美悠 大藤沙月 小塩遥菜 通算
長﨑美柚 3勝 1敗 3敗 2勝1敗 1勝 6勝5敗
相馬夢乃 3敗 1勝 1敗 1敗 1勝 2勝5敗
出澤杏佳 1勝 1敗 1勝 2勝1敗
木原美悠 3勝 1勝 1勝4敗 1勝 6勝4敗
大藤沙月 1勝2敗 1勝 1敗 4勝1敗 6勝4敗
小塩遥菜 1敗 1敗 1敗 3敗

相馬夢乃は長﨑との3敗を除けば他のメンバーとは2勝2敗で、小塩遥菜以外は拮抗していると言えると思う。

平野美宇、伊藤美誠、早田ひなの同い年の「みうみまひな」、それに1歳上の加藤美優やみうみまひなと同い年の塩見真希らを黄金世代と呼ぶが、彼女たちが高校を卒業した今次の黄金世代について考えてもいいだろう。


そこで上で挙げた高校2年生の3人と中学生の3人をそれぞれグループ化し、これら3選手が中心の世代を第2黄金世代(黄金世代G2)、第3黄金世代(黄金世代G3)と呼んではどうだろうか(GはGenerationのG)。

小塩遥菜は、この中では全敗だが今大会では世界ランキング14位の佐藤瞳や浜本由惟を破ったことや、成本綾海と相馬夢乃を破った米国ウー・ユエに勝って準々決勝まで進んだことを考慮すればこの中に含めていいと思う。



また、さらに黄金世代4Gも控えているようだ。

木原美悠がクロアチアオープン女子シングルスでシニア初優勝、長﨑美柚とダブルスも優勝で最年少記録

5月18日の2019チャレンジシリーズのクロアチアオープン最終日では、女子シングルスの準決勝と決勝、女子ダブルスの決勝が行われたが、残っていたのは全員日本選手だった。

両種目の状況を最終日をまとめたITTFニュースの記事から一部抜粋して紹介する。

女子シングルス

ハイライト:木原美悠が最年少記録

ザグレブで行われたSeamaster ITTFチャレン クロアチアオープンは5月18日日曜日に最終日を迎え、木原美悠が最も成功した選手となった。

最終日の前半で同じ日本の長﨑美柚と組んで女子ダブルスに優勝し、次に女子シングルスのチャンピオンになった。最終日1日での二冠としては、14歳と278日は1996年にワールドツアーが始まって以来の最年少記録となる。

2019クロアチアオープン女子シングルス優勝の木原美悠 (撮影Robert Valai)
木原美悠(第19シード)が準決勝で同じ日本の長﨑美柚(第18シード)を破り((8-11, 9-11, 11-6, 11-6, 11-6, 12-10)、決勝で加藤美優(第5シード)を破って(13-11, 11-6, 8-11, 8-11, 12-10, 5-11, 11-8)、優勝した。

木原美悠はITTFワールドツアーとITTFチャレンジシリーズの両方での2番目の最年少優勝となった。最年少優勝記録は同じ日本の伊藤美誠が保持している。伊藤美誠は2015ITTFワールドツアードイツオープンで3月22日(日曜)に優勝した時、14歳と153日だった。

もう1試合の準決勝では、加藤美優が大藤沙月(第14シード)を下した(11-8, 17-15, 9-11, 7-11, 11-5, 11-9)。

女子ダブルス

長﨑美柚(17歳、高2)と木原美悠のペア(第5シード)が佐藤瞳/橋本帆乃香ペア(第1シード)を破って(11-5, 14-12, 7-11, 11-8)、スロベニアオープンに続き2週連続の優勝を果たした。

佐藤瞳/橋本帆乃香ペアは、1996年にワールドツアーが始まって以来達成されていない、初めてのオープン国際大会での3年連続優勝にあと一歩及ばなかった。

(記事:イアン・マーシャル)

女子シングルス優勝の木原美悠(ITTF Facebookより)
女子ダブルス優勝の木原美悠(左)と長﨑美柚(右)(ITTF Facebookより)
佐藤瞳/橋本帆乃香ペアが今回優勝していたら3年連続優勝だったというので、日本卓球協会のサイトで調べてみると確かに2017年と2018年のクロアチアオープンのダブルスで優勝している。

(関連リンク)

宇田幸矢/戸上隼輔ペアが初優勝、宇田はU21と二冠 - 2019クロアチアオープン

2019チャレンジシリーズのクロアチアオープンの最終日の5月18日に男子ダブルスの決勝戦が行われ宇田幸矢/戸上隼輔(ともに17歳、高2)ペアがベルギーのペアを破り優勝した。このペアとしてシニアのダブルス初優勝である。

宇田幸矢/戸上俊輔は、今大会は予選からのエントリーで予選3試合に勝って本戦(ベスト16から)に進出し、本戦4試合を勝ち抜いた。

決勝の対戦相手は順当に勝ち上がった第1シードのベルギーのデボス/ヌイティンクだった。試合はゲームオールまでもつれた。最終ゲーム5-3とリードしてエンドが変わったあと3ポイントを連取され5-6と逆転されて思わずタイムアウトを取った後5ポイントを連取し10-6として勝利を引き寄せた。

決勝戦のスコア:
vs デボス/ヌイティンク(ベルギー)  3-2 (11-9, 10-12, 11-9, 3-11, 11-8)

男子ダブルス優勝の戸上隼輔(左)/宇田幸矢(右) (ITTF Facebookより)

宇田幸矢は、5月14日から16日に同時に行われたU21男子シングルスにも優勝しこの大会2冠となった。宇田は第2シードだったがU21ではこれが初優勝である。

決勝のスコア:
vs カナック・ジャ(米国)         3-1 (6-11, 11-6, 11-9, 11-7)

また、U21女子では相馬夢乃(16歳、高2)が決勝に進出したが地元クロアチアのスン・ジアイに敗れ、準優勝している(詳細はこちら)。
U21優勝の宇田幸矢(右)とスン・ジアイ(左) (ITTF Newsより、撮影Robert Valai)
2019クロアチアオープンの概要および一部種目の詳細はこちら

2019年5月17日金曜日

13歳の小塩遥菜が快進撃、佐藤瞳と浜本由惟を撃破し3回戦へ - クロアチアオープン 女子シングルス

卓球のクロアチアオープンの女子シングルスは初日の5月16日から大波乱が起こった。

震源は13歳の小塩遥菜だ。小塩遥菜は現在JOCエリートアカデミーに所属する中学2年生で守備型の戦型のカットマンだ。主にジュニアで出場していたが昨年から少しずつシニアの試合にも出場していた。今回もU21(21歳以下のカテゴリー)に出場しているが1回戦で敗退している。5月の世界ランキングは195位である。
小塩遥菜(写真はVICTASのホームぺージより)

この小塩遥菜が1回戦と2回戦で上位選手を次々に破り快進撃を続けているのだ。

女子シングルスの1回戦ではJOCエリートアカデミーの大先輩でオーストリアから参戦している浜本由惟(20歳、同86位)との対戦で、第1ゲームを2-11、第2ゲームを5-11と失い、やはり歯が立たないかと思われたが、そこから粘って相手のミスを誘い4ゲーム連取で逆転勝利した(4-2(2-11, 5-11, 11-8, 11-8, 11-9, 11-9))。

続く2回戦では同じ守備型のカットマンでは日本で1番の佐藤瞳(21歳、同14位)をやはりゲームカウント1-3とリードされたあと、3ゲームを連取して逆転で破った(4-3(1-11,11-5,9-11,9-11,11-9,11-6,11-4))。

クロアチアオープンの女子シングルスは今日3回戦と準々決勝が行われる。3回戦は日本選手は7選手が残っている。また、今日の小塩遥菜の3回戦はライブ配信がある。

日本選手の試合のスケジュールと結果、およびトーナメント表はここ
ライブ配信の視聴方法はここに掲載している。

2019年5月16日木曜日

クロアチアオープン始まる、日本からは24選手が参戦(5/16~18)

卓球の2019ITTFチャレンジシリーズ第4戦のクロアチアオープンが5月16日から3日間で開催されます。

世界ランキングの対象となるシニアの国際大会としては格下の大会ですが、日本からは男女合わせて24選手が出場しています。特に、注目は高校生の出澤杏佳(いでさわきょうか)です。出澤は今年の全日本選手権ジュニアの部でノーマークで優勝してナショナルチーム入りし、今大会がシニアデビューになります。シニアの試合は予選で1勝はしたものの残念ながら本戦に進めませんでしたが、U21シングルスで準々決勝に進出しています。初優勝できるか楽しみです。

(詳細ページのリンク)
クロアチアオープンの概要出場選手ライブ配信の視聴方法 
女子シングルスの試合スケジュール/結果とトーナメント表 
U21女子の試合スケジュール/結果とトーナメント表 
男子・女子シングルス予選(5/14-15)の結果 

2019年5月13日月曜日

長﨑美柚がU21で初優勝、女子ダブルスも木原美悠と初優勝で初2冠 - 2019チャレンジシリーズ スロベニアオープン

5月10日から5月12日で行われた2019チャレンジシリーズのスロベニアオープンは、長﨑美柚にとって初ずくしの大会だった。

大会2日目の5/11はU21の準々決勝、準決勝、決勝、女子シングルスの3回戦と準々決勝、女子ダブルスの準々決勝と準決勝と7試合をこなした。これも、もしかしたら初?

U21では決勝で台湾の蔡育勤に3-0(11-5, 16-14, 11-6)で勝ち、優勝を決めた。これまでU15やU18の国際大会での優勝はあったがU21の国際大会での優勝は初めてだ。
U21で初優勝の長﨑美柚(写真: Danilo Kesic, ITTFニュースより)

女子シングルスでは、同じ日本の大藤沙月に準々決勝で惜しくも最小の2ポイント差で敗れた(3-4(6-11, 11-4, 11-7, 11-5, 9-11, 5-11, 10-12)。

木原美悠とペアを組む女子ダブルスは最終日に決勝が行われ、同じ日本の芝田沙季/大藤沙月ペアとの対戦となったが、Tリーグでも強さを誇った花の中高生ペアは3-0(11-6, 11-5, 11-7)のストレートで勝利を納めた。どちらにとってもシニアの国際大会での初優勝だった。




(リンク)
2019スロベニアオープンのU21女子の日本選手の結果とトーナメント表
2019スロベニアオープンの概要
2019スロベニアオープンの女子シングルスの日本選手の結果とトーナメント表

2019年5月6日月曜日

早田ひながセルビアオープンで今年3度目の優勝

5月5日に終了した卓球のITTFチャレンジシリーズ セルビアオープンの女子シングルスで早田ひなが優勝した。今年の早田ひなの優勝は、2月ポルトガルオープン、3月のオマーンオープンに続いて3度目である。

ITTFニュースにほかの優勝者とともに取り上げられているので、女子シングルスに関する部分でだけ抜粋して紹介する。

ドリンコールと早田ひながタイトルを奪う

5月5日の日曜日、ベルグラードで行われたSeamaster 2019 ITTFチャレンジのセルビアオープンでドリンコールと早田ひながそれぞれ男子シングルスと女子シングルスで優勝した。


女子シングルス

日本の早田ひなは第1シードの実力を見せつけた。第5シードのロシアのミハイロワを一蹴すると(11-5, 11-4, 11-7, 11-8)、第2シードの香港の蘇慧音(ソ・ウェイヤン・ミニー)を倒して(11-9, 11-7, 10-12, 11-9, 11-9)、タイトルを奪取した。

早田ひなはすでに今年のポルトガルオープンとオマーンオープンで優勝しており、早田ひなにとっては、これが今年3度目のチャレンジシリーズの優勝になる。そして、同じ日本の芝田沙季の記録に並ぶにはもう1勝必要になる。芝田沙季は、昨年、ベルギーオープン、ベラルーシオープン、クロアチアオープン、スペインオープンの4大会で優勝している。

蘇慧音も一段上に進んだ。この決勝は、蘇慧音にとってITTFチャレンジシリーズおよびワールドツアーの大会でのはじめての女子シングルス決勝だった。
(イアン・マーシャル記者)
元のITTFニュースはこちらをご覧ください。

(ここからは筆者の記事です)

東京五輪代表レースにおける早田ひなの現状と今後

この優勝で早田ひなが獲得したポイントは850ポイントである。

今年は東京オリンピック代表選考の年であり、今年1年で獲得したポイントの内で上位8個のポイントの合計が11000~13000ポイント辺りがボーダーラインとなりそうなことを考えると850ポイントは少し物足りないポイントである。

しかし、昨年後半の国際大会の成績が振るわず、5月の世界ランキングで9番目の30位に位置する早田ひなにとっては少しでもポイントを稼いでおきたいところだろう。
(ちなみにポルトガルオープンとオマーンオープンの優勝ポイントは1100ポイント)

実際、早田ひなは昨年前半の成績はまあまあだったので、6月の世界ランキングで1350ポイント、7月の世界ランキングで1080ポイントが1年間の有効期限が切れて消失しさらにランキングを決めるポイントが減少する可能性がある。これを補うためには、5月の中国オープン、さらに6月の香港オープンとジャパンオープンなどポイントの高いワールドツアーでポイントを稼いでこれ以上のランキングの下降を食い止めたいところだ。

しかし、早田ひなは現在のランキングが低いためトップ選手の出場するこれらのワールドツアーには予選からの出場となるため、シードとなる選手(5月は石川、伊藤、平野、芝田、佐藤の5選手)が本戦から出場できるのに対して不利である。実際、3月のワールドツアープラチナのカタールオープンでは予選の最終戦で韓国選手に敗れて本戦に進めなかった。

一方、早田ひなはTリーグ全勝で、1月の全日本選手権では石川佳純(現在世界ランキング6位)、芝田沙季(同13位)、2月のポルトガルオープンで中国の劉詩雯(リュウ・シウェン、同4位)、オマーンオープンでは平野美宇(同9位)、台湾の鄭怡静(チェン・イーチン、同8位)を倒している。実力はトップ10選手と同等と言えるだろう。ワールドツアーで予選を突破し、本戦に進めれば、勝ち進んで高いポイントを稼ぐチャンスとなる。そうすれば、ランキングも上がりシード圏内に入りさらにチャンスが広がる。

その意味で、5月末から7月までワールドツアー5連戦が早田にとっての正念場と言えるだろう。

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