この新基準には2019年1月発表の世界ランキングから適用されます。
この基準には、ランキングの順位を決めるランキングポイントを決定するランキングポイントシステムも含まれていますが、主に以下の点が現行のシステムから変更されています。
- 優勝/準優勝/準決勝敗退/準々決勝敗退の場合の獲得ポイントの差が優勝ポイントの10%ずつだったが、優勝と準優勝は20%、準優勝/準決勝敗退/準々決勝敗退の間は15%となった。
- 上記の影響でベスト32から始まる場合の1回戦での敗退のポイントが優勝ポイントの50%から30%に引き下げられた。
- 1回戦敗退のポイントが下がったため、シード選手が1回戦で敗退した場合に通常の1回戦敗退のポイントしか獲得できないルールを廃止した。
- ワールドカップ(男子・女子・チーム)、グランドファイナル、大陸選手権/カップ戦(アジア選手権やアジアカップなど)での獲得ポイントの有効期間が12か月から、次の同じ大会までに変更された。
詳細な説明はホームぺージでの「変更点のまとめと解説」を読んでいただきたいが、ここでは11月の世界ランキングでトップ10に入っている石川佳純、平野美宇、伊藤美誠の日本の3選手のランキングポイントが、この新しいランキングポイントシステムでどのようになるかシミュレーションしてみた。
結果は次のとおり。
大会名 | 石川結果 | 2018 | 2019 | 平野 結果 |
2018 | 2019 | 伊藤結果 | 2018 | 2019 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2017年4月/ 2017アジア選手権 |
優勝 | 1800 | 1800 | 4回戦(R16) | 1080 | 720 | |||
2017年6月/ 2017世界選手権 |
準々決勝 | 2100 | 1500 | 準決勝 | 2400 | 1950 | 4回戦(R16) | 1800 | 1200 |
2017年11月/ ドイツOP(WTP) |
準決勝 | 1800 | 1465 | 1回戦 | 563 | 675 | 準々決勝 | 1575 | 1125 |
2017年11月/ スウェーデンOP(WT) |
準決勝 | 1440 | 1170 | 1回戦 | 450 | 540 | 1回戦 | 450 | 540 |
2017年12月/ グランドファイナル |
準々決勝 | 1785 | 1275 | 1回戦(R16) | 1530 | 1020 | 準々決勝 | 1785 | 1275 |
2018年2月/ チームワールドカップ |
5勝 | 1500 | 1250 | 0勝 | 0 | 0 | 1勝 | 300 | 250 |
2018年3月/ カタールOP(WTP) |
準決勝 | 1800 | 1465 | 準々決勝 | 1575 | 1125 | 1回戦 | 563 | 675 |
2018年3月/ ドイツOP(WTP) |
優勝 | 2250 | 2250 | 2回戦 | 1350 | 900 | 2回戦 | 1350 | 900 |
2018年4月/ アジアカップ |
3位 | 1554 | 1170 | 5位 | 1298 | 900 | |||
2018年4月/ 2018世界選手権 |
7勝 | 1750 | 1750 | 6勝 | 1500 | 1500 | 8勝 | 2000 | 2000 |
2018年5月/ 香港OP(WT) |
1回戦 | 450 | 540 | 2回戦 | 1080 | 720 | 準決勝 | 1440 | 1170 |
2018年5月/ 中国OP(WTP) |
準々決勝 | 1575 | 1125 | 1回戦 | 563 | 675 | 準決勝 | 1800 | 1465 |
2018年6月/ ジャパンOP(WT) |
準々決勝 | 1260 | 900 | 準々決勝 | 1260 | 900 | 優勝 | 1800 | 1800 |
2018年7月/ 韓国(WTP) |
準決勝 | 1800 | 1465 | 1回戦 | 563 | 675 | 準々決勝 | 1575 | 1125 |
2018年7月/ オーストラリアOP(WTP) |
準決勝 | 1800 | 1465 | 準々決勝 | 1575 | 1125 | 準々決勝 | 1575 | 1125 |
2018年8月/ ブルガリアOP(WT) |
準々決勝 | 1260 | 900 | 準々決勝 | 1260 | 900 | 1回戦 | 450 | 540 |
2018年8月/ チェコOP(WT) |
優勝 | 1800 | 1800 | 準々決勝 | 1260 | 900 | 準々決勝 | 1260 | 900 |
2018年9月/ ワールドカップ |
4位 | 1913 | 1530 | 準々決勝 | 1785 | 1275 | |||
ランキングポイント | 15263 | 13225 | 13013 | 10575 | 13910 | 11160 |
赤字がランキングポイントに算入されているポイントです。ランキングポイントに算入されるポイントは最大8大会となっています(詳細な説明はこちら)。
2017年4月のアジア選手権のポイントは12か月が過ぎ無効になっていましたが、今回の改定で有効になるはずなので、これは平野美宇にとってのプラス材料ですが、準々決勝以下での敗退が多いためランキングポイントが大幅に減っています。
今回のランキングポイントシステムの変更では優勝ポイントはチャレンジシリーズを除き変わってないので、優勝の多い選手はポイント変動が少ないです。このため、上位にいる中国選手はポイント変動の幅が少ないと予想できます。
また、世界選手権団体戦の1勝のポイントが変わっていないため伊藤美誠の2000ポイントがそのままです。このポイントは2020年の世界選手権団体戦まで維持されるためオリンピック選考に効いてきます。これは、来年のワールドカップへの出場の見込みがほぼない伊藤にとってはポイント収集における大きなメリットになるはずです。
試しに、現在の11月の世界ランキングのTOP10のポイントを計算してみました。
順位 | 選手 | 現ポイント | 新ポイント | 減少幅 |
---|---|---|---|---|
1 | 朱雨玲 | 16269 | 14925 | 1344 |
2 | 丁寧 | 15984 | 14790 | 1194 |
3 | 石川佳純 | 15263 | 13225 | 2038 |
4 | 陳夢 | 15014 | 13130 | 1884 |
5 | 王曼昱 | 14430 | 12615 | 1815 |
6 | 劉詩雯 | 13914 | 12655 | 1259 |
7 | 伊藤美誠 | 13910 | 11160 | 2750 |
8 | 鄭怡静 | 13231 | 10750 | 2481 |
9 | 平野美宇 | 13013 | 10575 | 2438 |
10 | 陳幸同 | 12594 | 9940 | 2654 |
5位の王曼昱と6位の劉詩雯のポイントが逆転していますが、順位には大きな影響はなさそうです。減少幅を見ると優勝や準優勝など上位で終わることの多い選手ほどポイントの減少幅は少ないようです。伊藤美誠は減少幅が大きいですが、11月はスウェーデンオープンで優勝し、優勝は新システムでもポイントの変更がないので影響はもっと少なくなると思います。
また、2019年1月に新基準が適用される時点で2018年以前に獲得したポイントも見直されるかという質問をいただきました。2018年1月の改訂でも2017年以前のレーティングポイントも消滅したので2018年に獲得したポイントも含めて見直されると思いますが、どうなるかは、2019年1月の世界ランキングが発表されてみないとわかりません。
ただ、上位で大会を終えている選手が有利なランキングポイントシステムになると言えそうです。