北九州市で行われている卓球の2018ワールドツアーのジャパンオープンの最終日(6/10)に、男子シングルスで中学3年の張本智和が中国選手を倒して優勝した。
張本智和は、準々決勝でリオ五輪と昨年の世界選手権で優勝している絶対的王者の中国の馬龍、準決勝で昨年の世界選手権で個人3位の韓国の李尚洙(イ・サンス)、決勝でロンドン五輪で金メダルとリオ五輪で銀メダルの中国の張継科と並み居るメダリストを倒しての優勝だった。
・準決勝
張本智和 vs 李尚洙 4-2 (11-5,10-12,11-4,11-5,5-11,11-9)
張本智和は前日に中国絶対王者の馬龍を倒している。しかし、4月のアジアカップ予選で現在世界ランキング1位の中国の樊振東(ファン・ジェンドン)を倒したあとに本戦の1回戦で韓国の丁祥恩(チョン・サンウン)に簡単に負けてしまっているので、大物を倒した後の試合は要注意である。
しかし、張本は立ち上がりの悪い李尚洙から1ゲーム目を簡単に取り、試合を有利にすると、2ゲーム目は接戦を落としたものの、3、4ゲーム目を簡単に取り、3-1と決勝進出に王手をかけた。5ゲーム目は勝ちを焦ったか簡単に落とした。6ゲーム目も0-5とリードされたがここから怒涛の5連取で5-5の同点に追いつき李尚洙にタイムアウトを取らせた。タイムアウト後のラリーも張本が制し6-5と逆転したが、その後李尚洙に3ポイントを連取され6-8と再逆転を許した。さらにお互いに1ポイントを交互に重ね7-9となったが、張本がさらに3ポイントを連取し10-9と逆転し先にゲームポイントを握った。そして、最後の1ポイントも取り勝利をものにした。
・決勝
張本智和 vs 張継科 4-3 (9-11,8-11,11-9,11-4,10-12,11-7,13-11)
張継科はロンドンオリンピックで金メダル、リオオリンピックで銀メダルを取っているメダリストである。しかし、数か月ほど兵役のため競技を離れていて先々週の香港オープンから国際大会に復帰したばかりだ。ランキングも下がってしまったため、先週の中国オープンでは予選から戦い本戦に進出し1回戦で張本智和と対戦している。このときは、張本が4-0のストレートで張継科に勝っている。
このため、張本が優位との予測もあった。しかし、張継科も復帰後だんだん調子も戻って、その結果が今回の決勝なのでけして油断はできなかった。実際、最初の2ゲームをいきなり取られてしまった。その後2ゲームを返してゲームカウント2-2に戻した張本だが第5ゲームを接戦で落としなかなか並みに乗れない。第6ゲームも0-2とリードされたが、そこから張本が4ポイント連取で4-2とし勢いそのままにこのゲームを11-7で押し切り、最終ゲームに持ち込んだ。
最終ゲームの張本の最初のポイントはラッキーなネットイン。さらに1ポイントを重ね、その後1ポイントを返されたがさらに3ポイント連取で5-1でコートチェンジと最終ゲームは張本有利に展開するかに見えた。
コートチェンジ後、お互いに1ポイントを取り6-2となった後、張継科が5ポイント連取で一気に6-7と逆転し、会場の勝ちムードが一挙に吹き飛んだ。その後、張本がラリーを征して7-7の同点とするが、張継科の4球目がネットイン、さらに1ポイントを取られ7-9となり、さらに張継科のサーブ順と張継科優位の状況になった。張継科の1本目のサーブは、張本のフォアハンドフリップでのリターンを張継科が台から外しまず8-9とし、次の張継科のサーブは台上のラリーとなったが張本の球がネットイン、そして最後はエッジで決まりラッキーもあったが9-9の同点とした。しかし、次の張本のサーブでリターンを台から外し9-10と張継科に先にマッチポイントを握られてしまった。しかし、ここでくじけないのが張本智和だ。次のラリーを征し、10-10のデュースに持ち込んだ。そして次の張継科のサーブで張本のリターンを張継科が台を外し、今度は張本のマッチポイントになった。しかし、張継科もオリンピックチャンピオンの意地を見せ、次の打ち合いを征し、再度11-11のデュースになった。ここで張本は張継科のロングサーブを回り込んでリターンエースを決め、2度目の張本のマッチポイントになり、最後はサービスエースで優勝を決めた。
11-11から張継科のロングサーブを回り込んでリターンエースを決めマッチポイントを取ったプレイは張本が試合後のインタビューで200%、300%のプレイと自分をほめたいと言っていたこの試合のキーになったプレイだった。
張本智和の今回の優勝は昨年の8月のチェコオープンに続く2度目のワールドツアー優勝だ。昨年のチェコオープンも今年3月に世界ランキング1位だったドイツのボルに勝っての優勝なので十分値打ちがあった。しかし、今回のジャパンオープンは1回戦で日本選手キラーの韓国の張禹珍、2回戦で中国の周雨、そして馬龍、李尚洙、張継科と強敵ばかりで、さらに張本の力を証明するものとなった。
itTVの配信で解説をしていたアダムは、男子シングルスの中でこの大会だけでなく別の大会も含め、もっともすごい試合で、昨日の馬龍との対戦よりすごかった。張本は、将来まちがいなくこれまで見たこともない偉大なプレイヤーになると言っていた。試合中の興奮もあって少し大げさかもしれないが、当たらずも遠からずだろう。張本智和は、14歳(今月27日で15歳)ですでに一流の技術だけでなく、一流の精神力も備えている。確かに大物と言わざるを得ないだろう。
2018ジャパンオープンの詳細についてはこちらをご覧ください。
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