今回の平野美宇は今年の全日本選手権のときのような不安そうな表情もなく、落ち着いた感じでした。また、コートの端に飛んで行ったボールを拾いに行くときもゆっくりと歩いていってゆっくりと戻ってきていました。もちろん歩きながら戦略を考えていたのだろうと思いますが、自分を常に落ち着かせるためにわざとそうしているようにも見えました。
試合の展開は以下のとおりです。
<第1ゲーム:13-11>
10-8 で先にゲームポイントを握るも、3連続ポイントを許し10-11とされ逆にゲームポイントを握られたが、そこから3連続ポイントしてゲームを取った。ポイントをリードされた後のサービスエースがよく決まっていた。これは平野美宇の強みでもある。
<第2ゲーム:11-9>
第1ゲームに続き10-8で先にゲームポイントを握った。1点は返されたが今回は2点目で仕留めた。
<第3ゲーム:11-8>
第1、2ゲームに続き今回も10-8と先にゲームポイントを握った。今回は一発で仕留めた。ライジングショットも冴えた。ハリケーン平野、復活の予兆を感じさせる。
<第4ゲーム:11-9>
4-1となったところで陳可がタイムアウト。今回はライジングショットを避けるためにネット際に返球していた中国のハリケーン平野対策にも対応していて、対策尽きたのか陳可は少し困惑した表情になっていた。タイムアウト明けに平野美宇が2連続ポイントで6-1としたがそこから陳可が2連続ポイントで6-3となったところで今度は平野美宇がタイムアウト。タイムアウト明けの1点は取られたもののその後2、3点差をキープしていたが最後に連続ポイントされ9-9になった。しかし、そこから2連続ポイントでストレートで勝利した。
平野美宇 |
平野美宇が中国選手に勝ったのは昨年4月のアジア選手権で丁寧、朱雨玲、陳夢の3選手を倒して以来で11か月ぶりでした。その間にその3選手にリベンジを許したほか、顧玉婷にワールドツアーの1回戦で4回当たって勝てないなど10回以上中国選手に勝てなくて落ち込んでいました。原因は、そのアジア選手権での優勝により下位選手に負けるわけにいかないと自分にプレッシャーをかけてしまい、思うようなプレーができないことのようでした。自分でも原因はわかっているのに、そういうマインドをコントロールできない歯がゆさもあったようです。アジアカップで中国以外の自分よりランクが下の選手に負けて泣いてしまったのもそうゆう部分があったのでしょう。今年の全日本選手権もそういう精神的な不安定さを引きづっているような表情でした。
しかし、今大会ではそういうことを感じさせない落ち着いた雰囲気でしたし、地に足がついている感じでした。たぶん、今年の全日本選手権で優勝できなかったことで少しそういうプレッシャーから解放されたのかもしれません。また、ゆっくりと歩いて自分のペースを保つなど心をコントロールする方法も身に付けたのかもしれません。ツイッターの過去のツイートを自分で全部消したのも、自分の栄光を忘れ去ってもう一度挑戦者に戻るという決意の表れなのだと思います。
準々決勝で石川佳純に敗れて、ツイートの全消去後初めての書き込みがあり「久しぶり
にスッキリできる試合もありましたが、課題も残ったので、これからに活かせるよう頑張ります」と書いていた。まだまだだがある程度納得もできたということだろう。つまり、吹っ切れたし、前を向くとゆう意味に取れる。ツイッターの書き込みも、納得のいく試合ができるまではやらないと決めていたのだろう。
早田ひなとの2回戦での対戦では陳可戦とは逆に8-10や7-10で先にゲームポイントを握られたがそこから逆転して土壇場の勝負強さも見せた。準々決勝の石川佳純戦では前半は良かったが後半は自分のいいところを出させてもらえず、得意のライジングショットもあまり使えずミスも多くなった。しかし、今回はハリケーン平野が戻ってくる予兆を感じさせてくれて、平野美宇ファンには久しぶりに楽しめた大会だった。今月の23日からのドイツオープンではさらなる活躍を期待したい。
0 件のコメント:
コメントを投稿