卓球の東京オリンピックのシングルス代表2名は2020年1月の世界ランキングで決まる。
そして、この来年1月の世界ランキングは主に今年1年の国際大会の成績で決まる。
今年の国際大会で日本選手の出場できる大会は、1月から7月までにワールドツアーとワールドツアープラチナが年間12大会中7大会、世界選手権やワールドカップなど大きな大会は6大会中2大会、T2ダイヤモンド大会は3大会中1大会が終了した。つまり、ワールドツアー以上の大会21大会中10大会、約半数が終了したことになり8月から12月が後半戦と考えられる(
年間スケジュールはこちらを参照)。
そこで、前半戦を終えての状況と筆者が注目する後半戦のポイントを説明する。
1. 現状分析
まず、男女トップ3選手の現在のランキングポイントと内訳をまとめると次のようになる。
|
伊藤美誠 |
平野美宇 |
石川佳純 |
張本智和 |
水谷隼 |
丹羽孝希 |
ランキングポイント |
10370 |
9590 |
9405 |
9535 |
7840 |
7690 |
① |
2000 |
1500 |
1750 |
1465 |
1500 |
1500 |
② |
1465 |
1500 |
1465 |
1440 |
1125 |
1170 |
③ |
1465 |
1465 |
1200 |
1250 |
900 |
900 |
④ |
1440 |
1170 |
1170 |
1200 |
900 |
900 |
⑤ |
1125 |
900 |
900 |
1125 |
900 |
750 |
⑥ |
900 |
900 |
900 |
1080 |
900 |
720 |
⑦ |
900 |
900 |
900 |
900 |
675 |
675 |
⑧ |
675 |
855 |
720 |
675 |
540 |
675 |
第1回T2ダイヤモンド |
400 |
400 |
400 |
400 |
400 |
400 |
ここで①~⑧は現在のランキングポイントに算入されている獲得ポイントをポイントの高い順に並べたものである。どの大会のポイントか詳細に知りたい方はこちらを参照(
女子・
男子)してほしい。また、どうして8個なのか分からない方は「
2019年世界ランキングシステム」の説明を参照して欲しい。
ここでは、1000ポイント以上をより多く獲得している伊藤美誠と張本智和がリードしていることがわかる。
次に、女子3選手について高いポイント4個(①~④)の合計と平均を比べてみる。
|
伊藤美誠 |
平野美宇 |
石川佳純 |
①+②+③+④ |
6370 |
5635 |
5585 |
平均 |
1592 |
1409 |
1396 |
ここでは、下位のポイントは今後の大会で入れ替わる可能性があるため、上位4個に注目している。この表でわかるのは、伊藤美誠は現在合計のランキングポイントだけでなく、1個1個のポイントでも高いポイントを獲得していることだ。
このことから、後半戦では1000ポイント以上のポイントを獲得するだけでなく、高いポイントを獲得することが重要になってくる。
2. 後半戦の考察
「現状分析」から後半戦はまず1000ポイント未満のポイントをなくすこと、また1000ポイント以上のポイントを獲得するだけでなく、高いポイントを獲得することが重要なことがわかる。
そこで、後半戦の主要な大会で獲得できるポイントを整理してみよう。
最終結果 |
優勝 |
準優勝 |
準決勝 |
準々決勝 |
ベスト16 |
ベスト32 |
ワールドカップ |
2550 |
1915 |
3位1660
4位1530 |
1275 |
1020 |
7~20位
765 |
グランドファイナル |
2550 |
2040 |
1660 |
1275 |
1020 |
|
ワールドツアープラチナ |
2250 |
1800 |
1465 |
1125 |
900 |
675 |
ワールドツアー |
1800 |
1440 |
1170 |
900 |
720 |
540 |
アジア選手権 |
1800 |
1350 |
1170 |
900 |
720 |
540 |
なお、11月に開催されるはチームワールドカップは個人のポイントになるのは団体戦のシングルスに出て1勝した場合だけで1勝につき250ポイントを獲得できる。
ここで、後半戦を見ていく上で知っておきたいのは以下の点だ。
- ワールドカップに出場できるのは平野美宇、石川佳純、丹羽孝希、張本智和のみ
- ワールドカップは第4シードまでに入れば準決勝まで行ける可能性大
- アジアカップとアジア選手権のポイントは同時に算入できない
- アジア選手権のポイントは通常のワールドツアーと変わらない
アジアカップがワールドカップの予選を兼ねているのでアジアカップに出場していなければワールドカップには出場できない。また、ワールドカップは1か国2名の出場のため第4シード(シード順は最新の世界ランキング順)までに入ると中国選手と当たるのは準決勝以上となり高ポイントが期待できる。この点では、ワールドカップに出場しない伊藤美誠と水谷隼は不利になる。
また、アジア選手権のポイントとアジアカップのポイントはどちらか一方しかランキングポイントに算入できない。つまり、アジアカップ3位で1170ポイントを獲得している石川佳純と丹羽孝希は準決勝敗退では獲得ポイントが1170を越えず、決勝まで進んで優勝か準優勝でないかぎりランキングポイントの増加はない。その点で、8月末からTリーグも始まりスケジュールが過密になる後半戦でアジア選手権を回避した丹羽孝希は賢明かもしれない。逆に、石川佳純は体を休める絶好の機会だと思うのだが、アジア選手権出場を選んだのは日本のキャプテンとしての責任なのだろうか。
また、ワールドカップ出場がない伊藤美誠と水谷隼もアジア選手権を回避したので、後半戦はワールドツアー/プラチナとグランドファイナル、そしてチームワールドカップの7大会だけでポイントを稼ぐことになる。その分、1大会1大会に集中して高いポイントを目指す覚悟ということだろうか。
より
詳細な後半戦の考察についてはこちらをご覧ください。